アメリカの7博物館における日本美術展示風景
どうもshineriです。2018年もあと20日くらいしかありませんね。さて、今回はアメリカの博物館(美術館含む)における日本美術の展示風景を紹介してみたいと思います。
1.シアトル美術館
先日、仕事でアメリカのワシントン州に行く機会がありました。初めての西海岸。ゲーム「ライフ・イズ・ストレンジ」の雰囲気を思い出してワクワクしたものの、怒涛の毎日で観光どころではありませんでした。しかし幸運にもシアトル美術館(略称SAM)に行く機会を得られたのです。シアトル美術館には小さいながら日本美術の展示コーナーがあり、茶室を再現した模型がありました。
↓茶室内には茶道具を置いている。
↓日本美術コーナー全体。屏風は保護ガラスなし。
このシアトル美術館の、特に茶室再現を見て、そういえばアメリカのミュージアムはこういう雰囲気で日本美術を展示しているんだった……と記憶がよみがえりました。
2011年の夏、大学生だった私は、友人と2人でアメリカ東海岸方面の博物館をめぐりました。
その旅のことを私はアメリカ版古美術研究旅行と呼んでいます。
お金がないのでユースホステルを渡り歩き、アムトラックやバスなどの公共交通機関を駆使した、今思えばよくやったなぁと感心する旅でした。初っ端から羽田→ニューヨーク航空便がハリケーンで飛ばなくなり、なぜかハワイを経由するというトラブル起きまくりの思い出深い旅です。
その旅で見たアメリカの各博物館の印象深い日本美術展示を思い出したので、過去の写真フォルダを漁り、紹介してみます。
※注:下記はすべて2011年夏の写真です。
2.メトロポリタン美術館(ニューヨーク)
まずはニューヨークの巨大なミュージアム、メトロポリタン美術館(略称MET)です。ここはとにかく大量の物がひしめき合っているという印象で、西洋絵画や彫刻はもちろん、エジプトやアフリカ美術のほか、家具や楽器、武器など多岐にわたる展示品があります。日本美術に関しては、エジプト美術のような大きなコーナーはなく、陶磁器・楽器・武器などのコーナーに日本美術があるという感じ。
↑の武具コーナーには、↓のような甲冑も並んでました。
The Metropolitan Museum of Art
3.アメリカ自然史博物館(ニューヨーク)
この博物館は、動物の剥製と各国の民族文化を展示しています。日本の国立科学博物館と国立民族学博物館が合体したような印象。ここの日本コーナーは独特の雰囲気があり、最も記憶に残っています。
なかなか日本では見られない展示でした。個人的には妖怪じみた根付などが展示されていて嬉しかったです。
↑は渡辺綱かな。
4.ブルックリン美術館(ニューヨーク)
ブルックリン美術館は、西洋・アメリカ・アフリカ・エジプト美術のほかに、アジア圏の美術が充実していました。METとは違い日本美術の展示コーナーが設けられており、その展示にはこだわりが感じられました。
展示ケース内に畳を敷いていることから分かるように、物だけではなく文化の雰囲気も含めて教えてくれる展示です。きれいめな日本感があり、好きです。
ニューヨークではこのほかにグッゲンハイム美術館、フリック・コレクション、MoMAなどに行きました。写真が残っていなかったのですが、MoMAで三宅一生や中西夏之の作品、玩具の「もじバケる」が展示されていました。
5.フィラデルフィア美術館
映画「ロッキー」で主人公がトレーニングをしている巨大な階段はこのフィラデルフィア美術館前にあります。この美術館の日本美術は建築分野がすごい!
例えばこれ……↓
実は室内なんです!
美術館の中に実物大の建築が並ぶ空間……。日本の江戸東京博物館や深川江戸資料館のような再現です。この大掛かりな展示には驚きました。
↑のように仏教美術も寺院内のような雰囲気を出すために柱まで作り込んでいました。
6.フリーア美術館(ワシントンDC)
ワシントンDCのスミソニアンにあるフリーアギャラリー(美術館)は、アジア美術が充実しており、日本美術の良質なコレクションがあります。
↑いくつか見かけた額装された掛軸。この方が扱いやすいかもしれない。
仏教美術も充実。奥に座しているのは快慶の仏像。私は運慶より快慶が好きです。
アーチ下の金剛力士もなかなか。
7.ボストン美術館
最後はボストン美術館(MFA)です。かつて岡倉天心が働いていた美術館で、モース、フェノロサ、ビゲローが持ち帰った日本美術をたくさん収蔵しています!
また、ボストン美術館には天心園という日本庭園があります。
上の写真を見て分かる通り、枯山水がボコボコに乱れていました。誰か間違って歩いてしまったのかと思っていたら、野ウサギがぴょんぴょん歩いているのを発見。ウサギの足跡だったようです。
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以上、シアトル美術館も含めると、7つの博物館における日本美術の展示風景を紹介しました。全体を通して言えるのは、日本美術を展示する際にケースや展示室内装も日本風に色々と工夫しているということでしょうか。
しかしこれは日本美術の分野に限ったことではなく、アメリカの美術館では展示環境をかなり作り込んでいるようです。
例えばこんな風に↓
こうして見ると、展示室のしつらえというのは美術鑑賞する上で重要ですね。工夫すると、作品が背負っている文化や世界観が体感しやすくなるかもしれません。
ではでは、shineriでした。
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